※これは擬人化ではなく、原型です。
後この物語は、何話か続くと思います。

           第1話<星の浮かぶ夜は>


***

此処は、僕等の御主人様、所謂トレーナーが訪れていたと言う、とある草原の丘。
今は――――夜。空には無数の星が出ていて、幾つもの輝きを見せている。
僕らのトレーナーは、家で寝てるそう。こんな夜遅くまで普通人間は起きられないとは思うけど。
僕等にとっては自由時間。寝るも起きるも自分次第。

僕の名は『エンペルト』。

見た目は皇帝をイメージした、ペンギンみたいなポケモンで、ポッチャマの進化系。

まぁ、僕から言えば子供時代かな。
そんな僕は、夜も寝ずに、じっと夜空を見上げてる。

「・・・綺麗だなぁ、今日の夜空も。」

僕はそんな事を呟きながら、無数の星を見つめていた。

「・・・あっ、そうだ・・・」

ふと、僕は何かに気付いて、其処に視線を向ける。

視線に映った者は、何時の間にか持って来ていた、かき氷。それも、蒼い色のシロップが付いてる。
僕がお気に入りの、ハワイアンブルーの味のかき氷だ。

「・・・久しぶりだな、かき氷食べるの」

僕はカップに付いてるスプーンでかき氷を食べながら、また星空を見上げていた。

そんな時だった。

「・・・何だ。まだ起きてたのか。好い加減寝てるかと思ったぜ」

そう言いながら近寄ってくる影は、オレンジ色の、二本足で立つ海イタチ。
名は、『フローゼル』。

「・・・?フローゼルじゃないか。もう寝てるかと思ったよ」

「その言い方はねぇだろ。俺だってたまには起きてぇんだよ」

そう言うと、彼は僕の隣に座る。

「・・・何だよ。」

「別に。」

フローゼルが不機嫌そうな表情をして来たので、僕は相変わらずの態度で応答する。

そして、暫くの沈黙が広がった。

・・・ふと、フローゼルがその雰囲気を吹っ飛ばす様に僕に呟く。


「御前。」

「?」


「・・・絶対消えるような真似、すんなよ」


「・・・え・・・?」

ふと彼が言った言葉。僕は戸惑いを覚える。今まで強気だった君が、そんな事言うなんて。

「・・・何言ってるのさ。当然だよ。僕はそんな真似はしない」

僕は当然のように答える。

「・・・。・・・正直言うと、僕も君に消えてもらいたくないかな」

僕も、正直な気持ちを言う。表情は、寂しそうだけどね。

「・・・俺だってな、御前に消えてもらいたくねぇよ」

「・・・フフ。・・・此方こそ有難う。嬉しいよ」

僕も正直、笑顔になる。

「フ・・・フン!!有難く思えよ!!!」

フローゼルは強がったまま、顔の向きを戻そうとはしなかった。

・・・そんな僕等の様子を、後ろの草むらから覗いてる三つの影があった。


「・・・何やあの二人。結構楽しそうやん」

「嫉妬しとるんか?」

「別に。羨ましい思うとっただけやで」

「何だかんだで似たもの同士なのよね。意外に気が合うかも」

そんな事を呟く、彼等であった。

果たして、この三つの影は・・・?


続く・・・