大波 導姫さんの作品「Beryl and Corundum*T Waterfall of a meteor」
ダイゴは相変わらず石の採掘をしていた。
流星の滝。
「ねぇダイゴさん…今日は何を探してるんですか」
「……エメラルド」
「へぇ…あるんですか?ここに」
「無かったらまた次の場所に行く。それだけだ」
そばではココドラが、さっきからずっと地面をほじくり返している。
「…暇でしょ?帰った方がいいよ」
「ううん…ここにいる」
ハルカは膝を抱えるようにして座った。
何気なく見上げると、天井が光り輝いている。
紫じみた、淡い光だ。
まるで、夜空の星のような。
ハルカはポケナビの「エントリーコール」を見た。
…ああ、もう、あたし1000戦以上もしたんだ。
ジムリーダーを倒し、四天王とチャンピオンを倒し、そしてフロンティアブレーンを倒した。
本当にいろいろあったなぁ、と、いろいろ思い出してみる。
ミシロに引っ越してきて、ユウキくんと出会って、アチャモのひなこと出会って、…。そして今、ここにいる。
「くこぉ!」
ココドラが鳴いた。
ココドラの足元には緑色の石があった。
「エメラルドだ…よくやったな、Cocola(ココラ)」
ココラという名のココドラは差し出されたポロックを喜んで食べた。
ハルカは再び「エントリーコール」を見た。
「意志の固い人 ダイゴ」
自己紹介の欄には、「結局ボクが一番強くて凄いんだよね」の迷台詞が記されている。
「…くす」
「どうかした?ハルカちゃん」
「ううん。なんでもなーいっ」
「…あ、もうそろそろ外が暗くなるころだね。送ろーか」
「いえ、もう道筋はわかってるので。さようならっ」
「ソルロックに襲われないようにね」
本当は知っている。元々あの人が何をしていたのかを。
そして、あの人の本当の実力を。
でも………。
いや、そのことはもう気にせずにおこう。
今度ここへ来るときは、
ダイゴさんを倒すときだ。